死にはぐれ

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目の前には予想よりも木々の少ない森が広がっていた。 それはこれからの男の決意をなだめるかのような安静を醸し出していた。 男は20代後半であった。 仕事や恋愛に失敗したわけではない。 ただ、昔から自分らしさや生きる意味をいつも考えてきた。 そして死ぬつもりで富士の樹海の前に今立っているのだ。 生きることに意味なんて見いだせないと。
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