グラスの蜃気楼

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「じゃあ、これはどうですか?」  ユナが次のカードを(めく)り右手に持つと、その裏面を客の前に差し出す。 「これも難しいな。えーっと、どれどれ……」  そう言いながら、オキはまたもわざとらしく、ユナの右手を大袈裟に両手でしっかりと握り締める。しかし、それは誰の目から見ても、色白で二重瞼の綺麗な顔立ちにほっそりとした体のホステスと、(ささ)やかなスキンシップを図る為の好都合な言い訳なのだと分かる。
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