第1話「プライド」

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第1話「プライド」

「意味分かんない」 たった一言。けれど、何度言ったか分からない言葉を目の前の人物にぶつける。 目の前に座るあたしよりも小さく―まぁ、あたしと友達になれる程には可愛い顔をした幼馴染――神崎臨音(カンザキ リンネ)が少し困った顔をして、まっすぐあたしを見ていた。 「まぁ、いきなりホモ発言は意味わかんないだろうねぇ」 「でしょ!?絶対そんなの嘘に決まってる!!他に女が出来たのよ!!」 「えー?でもさぁ、来栖ってそういう器用なこと出来なさそうじゃん?それはないんじゃないのー」 苦笑いでそう臨音に返された言葉に断固として首を横に振る。 ―そんな訳、絶対にない。 だって、あたしと付き合ってる時は普通に手とかつないだり、キスしたり。…まぁ、ナニまではしなかったけど。 そんなことしてた奴がホモとか有り得ない。 絶対にあたしの他に好きな女が出来て、あたしとモメるのが嫌で――というか、その女にあたしの怒りの矛先が向かないように、あんなバレッバレの嘘を吐いたに決まってる。 ――それが、あたしが一日考えた末の結論で、真実に違いないことだった。 「絶対に新しく女が出来て、その女にあたしが文句言うのを怖がってんのよ!!」 「まぁね~。璃沙は怒らすと怖いからねー」 ていうか執念深い、と失礼なことを続ける臨音に無言でぺちと頭を叩く。 臨音は痛いと小さく言ったきり、文句を言うことはなかった。空気を読んだ臨音の反応に気を良くして、もう一度すぅと息を吸い込んだ。 「とにかく!!あたしにバレバレの嘘を吐いた挙句にあたしをフッたこと、絶対に後悔させてやるんだから!!」 「後悔って…。具体的に何すんの?」 そう冷静に問われて、うっと言葉に詰まる。勢いだけで言ったその言葉にもちろん綿密な計画なんてあるはずもなく。無言で黙り込んだあたしに、臨音は軽くため息をつくと、ぽんと軽く頭を撫でた。 「ま、とりあえずは真実を見つけるとこから始めればいいんじゃない?私も協力してあげるからさ」 「臨音…」
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