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にっこりと笑う臨音はあたしよりも小さいのに酷く頼もしく思えて。思わず涙腺が緩みそうになって、ぶんぶんと首を横に振る。
――絶対に、あたしをフッたこと、後悔させてやるんだから…!!
そう強く心の中で宣言したあたしの顔を見て、臨音は少しだけ淋しそうに笑って。
いつも明るくてサバサバしてて、元気な臨音のそんな顔見たことなかったから。
一瞬、ぽかんとしてしまったけれど。
どうしたの、と聞くよりも早く臨音はいつもの元気な顔に戻って、にっこりと笑った。
「さ、まずはもう一度直接本人に聞いてみよ!璃沙は元カノなんだから、新しく好きになったっていう奴のこと聞く権利あるんだからさ」
「え…あ、だよね!よーっし、待ってなさいよ聖!!」
「ははっ、その調子その調子。璃沙はそうやって元気に笑ってるのが可愛いよ」
にっこりと笑った臨音の言葉に嫌味はなくて。純粋に褒められたのだと気付いて、胸を張って見せた。
「何言ってるの、臨音。あたしが可愛いのは元々よ!」
「はいはい、そうですねー。かわいいかわいい」
「ちょっと、感情込めて言いなさいよ!!友達でしょ!」
「友達はキツイことも言うもんですよー。ほらほら、作戦会議始めるよ」
いつものからかうような口調にちょっとムカついたけれど、今はそれよりも聖のことの方が最重要事項だったから。
あたしは頭の中でどうやって責めてやろうかなんて、必死で考えていて。そんなあたしを見ながら、臨音が少しだけ嬉しそうに笑っていることにあたしは全く気付かなかったのだった。
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