再会

8/24
前へ
/68ページ
次へ
頬に当てられたのは、冷たい缶のお茶だった。 「あ、あの……」 「冷たいもの飲んだら少しは落ち着くよ。あ、奢りだから代金は気にしないで」 彼女がそう言った瞬間、ざわざわと煩い構内にアナウンスが鳴り響いた。 『本日もご利用いただき、まことにありがとうございます。お客様に、お知らせいたします。午前七時二十八分発、槻舘(つきだて)行き列車が事故の影響で十分ほど遅れております。お急ぎのお客様には大変申し訳ありませんが、ご理解戴けますようよろしくお願いいたします。繰り返し、お客様にお知らせいたします』 晃輝と彼女は思わず顔を見合わせた。 「事故だって。何があったんだろうね?」 「さ、さあ」 十分遅れるのか、と晃輝は再び腕時計に目を落とした。 遅刻はしないだろうが、急がないといけなさそうだ。 朝から体育なのに、と晃輝は憂鬱な気持ちになる。 ,
/68ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加