独り言は独りのときに

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千代子の祖母である斎藤志津子(サイトウシズコ)は華道の先生として名をはせる、古き日本を愛する女性である 数年前までは彼女が呉服店を経営しており、全国規模の有名店にまで作りあげたのは志津子の頑張りの結果だった 故に世間の厳しさを誰よりも知っている彼女はどうしても千代子への教育が厳しくなってしまうのだ 「毎日毎日お茶やお花の稽古ばっかりだなんてつまらない」 そう言ってケーキと一緒に注文した紅茶を口に含む千代子 口の中にふわりと甘さと温かさが広がり、嫌な気持ちがすっと消えるのがわかる
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