行進

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山の頂上で三匹の黒い猫が祈っていた。 猫は全てのことを祈っていた。 「猫も犬も蛇もコオロギも千切れた花びらも、全ての動物も植物も大地も水も空気も、そして人間も。 皆栄え合い、地球があるべき姿のまま平和で暮らせます様に」 猫の後ろには犬がいた。 犬の後ろには蛇やコオロギや千切れた花びらがいた。 その後ろには沢山の動物や虫や植物や大切なものがいた。 皆、全てのことを祈っていた。 「猫も犬も蛇もコオロギも千切れた花びらも、全ての動物も植物も大地も水も空気も、そして人間も。 皆栄え合い、地球があるべき姿のまま平和で暮らせます様に」 不思議なことに、人間は彼らに石を投げなかった。 そこにいる人間には、誰一人として彼らが見えていなかったのだ。
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