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キッチンに立ったままで、隣の部屋にいる勝也の気配を背中で感じようとしてみた。
部屋の中をキョロキョロと見てる感じとか、落ち着かなくてソファーの上で何度か座り直したり。
でも、テーブルの上に出しておいた物が、気になってる様子は見なくても伝わってくる。
卒業アルバム。
「愛美、これ卒業アルバムだろ。ちょっと、見て良いか?」
心臓が、跳ね上がるみたいに強く鼓動する感じがした。そして、その心臓を強く握り締められるみたいに、胸が苦しくなってくる。
中学の時の卒業アルバム。
それは、勝也の知らない私。
そして、今の私じゃない私。
「うん、いいよ。お湯が沸くまで時間がかかるから」
「あぁ、じゃあ見せてもらうわ」
ページを捲る音が聞こえる。
きっと、今の私の面影を探してるんだろうな。面影はあるけれど、簡単には見付からないだろうな。
性別適合手術は受けたけど、顔の整形手術は受けていない。
「なぁ、愛美。なん組だったんだ?」
「C組だよぉ、見付からないの?」
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