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勝也が探してるのは、紺のブレザーで首に赤いリボンをした女子の私。
そんな私を、探してるはず。
そこに、私はいないのに……
勝也は、そのページに【花咲 愛美】って名前を探しているはず。でも、その名前はそこには無い。
「なぁ、このアルバム本当に愛美のなのかよ。別の誰かのじゃないのか?」
「違うよ、それは私のアルバムだよ」
その時、電気ポットが湯気をあげた。
ポットの沸騰のランプが消え、保温のランプが灯ってる。
この部屋に、誰かを呼ぶなんて思ってなかった。お客さん用のカップなんてこの部屋には無いから、いつも私が使ってるカップに紅茶を入れた。
そして、カップを2つ持って部屋に行く。
アルバムを見ている勝也を見て、また心臓が痛いくらいに苦しくなった。
見開いたページの、左側が男子で右側が女子。そこには、個人の写真と名前が載ってる。
勝也が見てるのは、右側。
勝也の隣に座って、カップをテーブルに置いて私もアルバムを見てみる。
私が見てるのは、左側。
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