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真ん中よりも下の方、今よりも全然髪が短くて、窮屈そうに学ランを着ているその時の私がいる。
個人の写真の上には、大きな集合写真があって、学ランの私は少しうつむき加減で、顔が写らないようにしている。
「なぁ、やっぱり愛美は写ってないぜ」
「これだよ……」
私は、左側の昔の写真を指差す。
勝也の目線が、私の指先に来たのが分かった。
写真を見て、私の横顔を見る。そして、写真の下の名前を確認している。
「花咲 拓海、たくみ。誰? 愛美の兄弟か。そうか、お兄さんか弟の卒業アルバムなんだな」
「私は、一人っ子だよ……」
「じゃあ、これは誰だよ。親戚の人か誰かなのか?」
「だから、それが私……」
「えっ?」
勝也の動きが止まった。
その目は、私の横顔を見詰めたままで少しも動かない。私の言った意味が分からないのか、それとも分かってて混乱してるのか。
でも、勝也がどんな顔で私を見てるのかは、恐くて見る事が出来ない。
「冗談だよな?」
「本当だよ。それが、中学の時の私……」
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