第一章 大失恋のその後で

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   勝也が、テーブルから奪い取るみたいに卒業アルバムを取り上げると、顔を埋め込むみたいに昔の私を見てる。  よく見たら、面影がある筈。 「本当、なのか?」 「うん、今まで黙っていてごめんね……」  重苦しい沈黙が、私を押し潰しそうになる。  それでも勝也が頭の中で整理して、理解してくれるって淡い期待がどこかにあった。  勝也なら、分かってくれる。  でも、この後に聞こえて来たのは絶望の言葉だった。 「俺を騙してたのか?」 「騙すだなんて……」 「だって、そうだろ。男だったのに、それを隠して女のふりをしてて、気付かない俺を陰で笑っていたんだろ?」 「そんな事、してないよ」 「だったら、何で付き合う前に言わなかったんだよ」  そんな事、言える筈が無かった。  だけど、私が男じゃ無いって事を分かってもらわないと、話しが聞いてもらえない気がして、性同一性障害を説明した。  勝也は私に背を向けたままだけど、一応は話しを聞いてくれているみたい。  後は性同一性障害の事を、どれだけ理解してくれるのかが心配だった。  
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