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後ろめたい気持ちもある。
嘘だと言われたらその通りなんだけど、元性同一性障害者の気持ちからしたら、絶対に言えるはずなんて無かった。
嘘をついてまで付き合いたかったのは、勝也が好きだったから。
「言ったら……」
「何だよ、愛美」
「言ったら、付き合ってくれたの。前に男の子の身体だったとしても、私の事を好きになってくれた?」
「それは……」
やっぱり、偏見だ。
勝也は何も言えなくなって、固まったまま動かないのが偏見のある証拠。
前もって言ってたなら、絶対に付き合えていなかった。
「とにかくバイト以外で、しばらくの間は会わないようにしてくれ」
勝也は、逃げるようにして部屋を出ていく。
部屋に取り残された私は、ソファーから動けなくなって気が付いたら泣いてた。
「終わっちゃったかな……」
一週間、考えたくらいで決められる事じゃ無かった。
その時は、そのくらいの考えで終わってた。失恋はしたけど、自分の考え方が浅かったで済んでる。
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