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ほんの数分だけど、頭の中で色々と考えた。
店長は、勝也が話した事を説明させたいんじゃないかとか、職場の雰囲気を悪くした事に対して謝罪の言葉が欲しいのかとか。
どっちも、違う気がした。
店長が欲しい言葉は、ひとつしか無いってすぐに分かる。今まで何度も、自分の意思とは関係なく発して来た、その言葉を要求されてるんだ。
ワタシガ ココカライナクナル。
「店長。私、辞めた方がいいんですか?」
精一杯の抵抗だった。
私の考え過ぎで店長は状況の説明を望んでて、ちゃんと説明するチャンスを貰う為の言葉だった。
「いや、うちとしても急に人手が減るのは厳しいが、雰囲気と言うのもあるしね。花咲くんが、そう考えてるなら仕方ないか」
「えっ、ちょっと……」
私は、職を失った。
店長に根掘り葉掘り聞かれるよりは、何倍もマシだったんだけど辞めさせられるなんて、少しも思ってなかった。
性同一性障害だった事は、そんなに悪い事なの?
仕事まで、奪われなきゃいけないくらい特別な事なの?
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