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更衣室に入って私物を片付けてると、一番仲がいい女の子が入ってきた。だけど、その顔は申し訳なそうな気持ちでいっぱいって感じだった。
「愛美、ゴメン……」
「えっ、何が?」
「吉田さんが愛美の事をみんなに話してる時、それを否定できなかった……」
「勝也、何て言ってたの?」
勝也は私の事を性同一性障害者では無く、異性装者でゲイだとみんなに言っていた。
女装趣味で、同性しか愛せない男。
そう言ってる時点で偏見の塊だって分かるけど、勝也がそこまであからさまに、差別的な行動をするとは思ってもみなかった。
それは女装趣味の人や、ゲイの人にも失礼だなんて考えなかったんだろう。
しかも今日出勤していない、バイト仲間にもメールしてたみたい。
ここに、居場所は無くなったんだ。
「ねぇ、愛美。吉田さんの言ってた事、冗談なんでしょ? みんなに、ちゃんと説明した方がいいよ」
「そんなの、無理だよ……」
勝也はみんなに慕われてて、私の話しより勝也の言う事を信じるはず。私が何を言ったって、信じるはずがないよ。
それに、もうバイトを辞めるって言っちゃった。
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