第一章 大失恋のその後で

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   レンタルビデオ店の中で、身動きが出来なくなりそうになった。  DVDを借りる事自体は大したことではないのに、それをさせない理由が身体を固める。  惰性的に付き合っていたって、キス以上の関係が無くたって勝也がこんなにも私の中にいる。  それだけ、大きな存在だったんだ。  それだけ、勝也が好きだったんだ。 「勝也が、いなくなっちゃったよ……」  溢れ出しそうな涙を必死に堪えて、無意識に恋愛コーナーの古めのDVD5枚を手に取って、それを借りると真っ直ぐに部屋に帰った。  涙で滲んで、鍵を開けるのに何分かの時間がかかってしまう。 「ただいま……」  普段はそんな事なんて言わないのに、自然に「ただいま」と言っていた。  10時間くらい前、勝也そこにいたんだ。  ソファーの前のテーブルには、まだ卒業アルバムが開いたままで置いてある。  まるで、そこだけ時間が止まったみたいに見えた。 「勝也……」  そう呟いてみたら涙が溢れ全身の力が抜けて、その場で座り込んで動けなくなってた。  そして、大声を上げて泣いた。  
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