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ふとした事で勝也との思い出の全てが蘇り、別れた時の辛さがぶり返してくる。
これは、単純な失恋じゃ無かった。
性同一性障害者だった事への差別と、恋心を踏みにじられたダブルパンチ。
最初は、差別の方が辛かった気がする。
「勝也……」
今は、どっちが辛いのかが分からなくなってる。
失恋の悲しさと、差別の悔しさ。
女の子としては悲しいし、人間としては悔しかったのかもしれない。
その時、今まで聞いたことないくらい、大きな音でお腹が鳴った。悔しくても、悲しくても何十時間も食べなかったら流石にお腹は減っちゃう。
一時は餓死しても良いって、無意識に思ってたのかもしれない。
「何か食べようかな……」
キッチンに立っても、空腹なのに食欲はあまり無い。
断食みたいな状態だったから、胃だって食べ物を受け付ける状態じゃ無いかもしれないな。
ゼリーの栄養補助食品と、野菜ジュースにプリンを出して、流し込むみたいに食べたけど元気なんて出ない。
「携帯、どうしよう……」
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