第一章 大失恋のその後で

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   全身を洗い終えてから、やっと溜まった湯船に身体を浸した。 「はあぁぁぁぁぁぁ」  3日ぶりの湯船は、少しだけ緊張をほぐしてくれた。私は、シャワーよりもお湯につかる方が癒される。  ちょっとオジサンっぽい声が出ちゃうのは、人には見せられないけど。 「でも、これから……」  改めて、現実に引き戻された。  次の給料が入ったら、その後の収入が無くなるけど、お母さんや義父には甘えたくない。  甘えるってより、関わりを持ちたくないのかもしれない。  お母さんの幸せの為にも。  そして、次の日。  3日ぶりの睡眠のせいで、昼を過ぎても目覚めなくて部屋が薄暗くなった頃に、連続した何かの音で目覚めた。 「えっ、何の音……」  意識がハッキリすると、それが玄関のチャイムだって分かった。  だけど、それは普通に鳴らされてるんじゃなくて、前に鳴らした音に被せるように次々とチャイムの音がする。 「イタズラ?」  玄関ドアの覗き穴から、外を見てみると誰もいなかった。  
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