4160人が本棚に入れています
本棚に追加
その時、画面にエンドロールが流れ始め、その映画の終わりを告げている。
「終わっちゃった。入れ替えなきゃ……」
同じDVDを続けて再生してもいいはずなのに、何でだか律儀に毎回入れ替えてる。
それが唯一、私の生きているって確認する為の作業に思えたから。
リモコンを操作して、DVDを取り出す。
『まなみ……』
「えっ?」
リモコンを押し間違えて画面がテレビに切り替わり、昼ドラの俳優が相手役の女優をそう呼んだ。
女優の役名が、私と同じなんだ。
『愛美、こっちに来いよ』
彼氏が、もう元カレなんだっけ。私を呼ぶ時と同じ呼び方で、俳優が女優を呼んでいる。
その瞬間、記憶が逆戻りするみたいに色々な事を思い出す。
「吉田さん、話しって何ですか?」
「俺の事を、吉田さんじゃなくて勝也って呼んでくれないか」
「えっ、それって……」
「俺と付き合ってほしい」
カラオケボックスのバイト先で、私の教育係だった吉田さんに店の裏に呼び出されて告白された。
最初のコメントを投稿しよう!