第一章 大失恋のその後で

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   勝也はバイト先のカラオケボックスで、私の教育係ってだけの頃から気になる存在ではあった。  優しくて背が高く、いつもみんなの中心にいるような。きっと小学校の頃から変わらず、そうなんだって想像できちゃう人。  だから告白された時、凄く嬉しかった。  それなのに初めてのキスから1ヶ月過ぎても、それ以上の進展は何も無かった。  勝也からは求めて来なかったし、私自身がどうしたらいいのか分からなくて、惰性的に付き合ってた気もする。  ある意味では、それでも良かった。 「勝也。今日バイトが終わったら、ご飯でも食べに行きたいなぁ?」 「悪い、今日はバンド」 「そう、分かった……」  進展しない理由のもうひとつに、勝也のバンド活動があった。  なるべく一緒にいたいから、バイトのシフトは同じ日同じ時間に入れてた。  大体は、昼から夜の8時か9時まで。  何もなければバイトの後にデート出来てたけど、週に3日はバンドの練習があった。  その事が不満であり、不安だった。    
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