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それは、バンドの練習やライブに一度も呼ばれなかったから。
普通バンドしてたら、彼女には一番見せたいんじゃないかって思いそうだけど、勝也は絶対ってくらいに見せたがらなかった。
「ねぇ、練習見に行きたいよ」
「その内な。メンバーが変わったばっかで、見せられる状態じゃないんだ。前にも言ったろ」
「そうだけど……」
私に取って勝也のバンド活動は、唯一知らないシークレットな部分。
もしかして、バンドなんてしてないんじゃないの?
そんな事を考えたりもした。
それは浮気とか二股とか、そんな悪い考えにも行き着くんだけど、それ以上に重大な秘密を私が隠してるから、追求なんて出来なかった。
だから、信じるしか無いって自分に言い聞かせてた。
そして、何日か前。
「愛美、今日はメシ食って帰るか?」
「うん、久しぶりにラーメン食べたいな」
「じゃあ、新しく出来た駅前の店に行ってみるか」
久しぶりに、デートが出来るってだけで嬉しかった。
それは、勝也も同じだったみたい。
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