第一章 大失恋のその後で

7/38
前へ
/942ページ
次へ
   ラーメン屋でデートなんてちょっと寂しいけど、二人ともお金は無いから贅沢は出来なかった。  特に勝也はバイト代を、バンドのスタジオ代とかにつぎ込んでたから、バイト中の食事代も節約する。 「美味しかったね」 「あぁ、安かったしな」  歩いて駅に帰りながら、何となく会話につまった。  勝也の緊張が、何となく伝わってくる。  いつもなら駅まで勝也に送ってもらって、さよならしてから電車の中でメールをする。  今日も、そのつもりだった。 「今日は、まだ離れたくないんだよな……」  もうすぐ駅って場所で、勝也がポツリと言った。それを言う為に、緊張してたんだ。  そして、その言葉の意味も分かった。  キス以上の事がしたい。  勝也の目が、そう言ってるように見える。付き合って3ヶ月、何も無いなんて男の人にとって、我慢できないのは何となく分かる。  それに、私だってそれを望んでる。 「うちに来る?」 「良いのか?」 「うん、もう3ヶ月だもんね。それに、聞いてもらいたい事もあるし」  
/942ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4160人が本棚に入れています
本棚に追加