終わり、そして始まり

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誰もいない屋上。 大半が、中庭や教室で昼食をとっている。 ひゅうひゅうと、風の吹き抜ける音が、やけに響いて聞こえる。 そんな、寂しげなこの場所に、ぽつんと人影が一つ現れた。 彼女の名前は、宇津木紅。 虚ろな表情で、フェンスに向かって歩いている。 カシャン、とフェンスに手をかけた。 そして、下をのぞきこむようにして、地面を見つめる。 「……高いなぁ。」 きっとここから落ちれば 死ねるだろうな。 そう思い、フェンスに足をかける。 「…あれ?」 その時、紅の手が、足が。体が、震えだした。 「こえーなら下見んなよ」 不意に、後ろから腕を引っ張られた。
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