271人が本棚に入れています
本棚に追加
誰もいない屋上。
大半が、中庭や教室で昼食をとっている。
ひゅうひゅうと、風の吹き抜ける音が、やけに響いて聞こえる。
そんな、寂しげなこの場所に、ぽつんと人影が一つ現れた。
彼女の名前は、宇津木紅。
虚ろな表情で、フェンスに向かって歩いている。
カシャン、とフェンスに手をかけた。
そして、下をのぞきこむようにして、地面を見つめる。
「……高いなぁ。」
きっとここから落ちれば
死ねるだろうな。
そう思い、フェンスに足をかける。
「…あれ?」
その時、紅の手が、足が。体が、震えだした。
「こえーなら下見んなよ」
不意に、後ろから腕を引っ張られた。
最初のコメントを投稿しよう!