紅と光牙と川元しずか

5/13
前へ
/70ページ
次へ
…痛い…。 腫れてるし。擦りむいてるし。 保健室行って湿布と絆創膏やろう。 「失礼しまぁす。湿布と絆創膏くださぁい」 そう言いながら、ガラリと保健室の戸をひいた。 「紅?」 …げ。厄介なのがいるよ…。 何でいんの!? 「お前どっかケガしたのか?」 「光牙こそ」 「俺はサッカーでコケたっ」 「あ、私もさっきコケちゃって」 そう言い、椅子に腰をおろす。 「転んだだけで、ここは腫れないわよ?」 先生がそう言って私の頬に手を添えた。 …さすがだなぁ…。 なんて、先生に感心していたら、光牙が勢いよく立ち上がった。 「っまさか誰かにやられたのか!?」 …お節介。何で心配してるの? 私だけの…問題、だもん。 「別に?本当にコケただけ。打ち所悪かったんじゃない?」 私は本当のことを言わなかった。 …言えなかった。
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!

271人が本棚に入れています
本棚に追加