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その日の帰り、俺は駐車場で彼女を待った。
この間、この辺りの人のなかでは有名だという夜景スポットを、ツレから教わった。俺はその景色を彼女と見ると決めていた。こちらを少し気にしながら、彼女が歩いてくる。
「待ってたけー今日は付き合ってや。見せたいもんがあるんよ。」
意外にも、彼女はすんなり俺の車に乗った。
車の中で、俺をヨシと呼んでほしいと頼んだ。それ以外、俺はまともに話すことができなかった。彼女からは女性らしい柔らかな香水の香りがした。この距離に彼女を置くことが出来て初めて知った。
夜景スポットに着いた俺は、なぜだか急に、心が大胆になった。彼女の手を引いて、一番高い場所まで一気に来た。よく見える。星が近い。
町の灯りは、まるで星みたいに瞬いて、上にも下にも星だらけだった。
「キレイ…」
俺は思わず呟いた。
彼女の肩にかかるストレートの髪が、風に吹かれ、また柔らかい香りを放った。
星空は俺の期待を裏切らなかった。
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