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俺は男だ。彼女の肩を強くつかんで叫んだ。「俺さー実はさー、サヤカのこと大好きなんよー!」
辺りが静まった。
周りのカップルが俺らを見てる。うらやましいんだ、俺らが。
「い…行こ!」
彼女は俺の手を引いて車目指して走り出す。「ちょっちょっ、まだ星見てたいやんかー!もぉー!」
車に着いた彼女は、下を向いてハニカんでいる。俺は、そんな愛しい彼女の唇ギリギリまで顔を近付けて、こう言ったんだ。
「…まだ早かったか?」
俺たちはまた同時に笑いだした。
いつも会いたい、いつも一緒にいたい。ずっと一緒にいたい……。「あっ!」
俺は彼女の顔の前で手を叩いてみせた。
「今度は何なの?」
「星が降って来ました。サヤカにあげるよ。いつでも会いに来て。」
俺の家の鍵をわたした。
鍵には、彼女に初めて会った、あの春の日に買った、星のシルバーアクセをつけておいた。
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