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「桜花ちゃん…1人で立てる?」
剣翔は泣いている桜花に言った
「…う…うん」
桜花は涙を拭いながら静かに剣翔に答える
「皐月ちゃん、済まないけど桜花ちゃんに付いていてほしいんだ…僕は落ちてしまったカバンを拾いに行って来るから」
剣翔は皐月に言った
「カバンなら私が拾いに行きますっ剣翔様は桜花様に付いて差し上げて下さいっ」
拾いに行くと言う剣翔に皐月は慌て言う
「ありがとう…でも僕が行くよ、桜花ちゃんを頼むね」
剣翔は静かに皐月に言った
「は…はい」
拾いに行くという剣翔に皐月は言葉少なく答える
そして剣翔はカバンを拾いに階段を降りて行った
「大丈夫ですか、桜花様…」
俯き涙を拭う桜花に皐月は心配そうに声を掛ける
「…平気ですっ…ちょっと涙が出て来てしまっただけなので…」
桜花は泣いてしまった自分が恥ずかしくて少し照れながら皐月に答えた
…たかが階段から落ちそうになった位で泣くなんて…しかも、人前で涙を見せたことなんてなかったのに…恥ずかしいよ…
ザワザワ
校舎に入って来た女子生徒達がカバンを拾う剣翔に気づいた
「剣翔様、どうかなさいましたか…」
「何でもありませんので気にしないでください」
声を掛けられ剣翔は優しく答える
自分のカバンと桜花のカバンをを拾い、剣翔はそれを持って階段を上がって行く
女子生徒達はそんな剣翔を下から見ている
「桜花ちゃん、カバンを持って来たよ」
剣翔は泣き止み立って待っていた桜花に優しくいうとカバンを手渡した
「あ…ありがとう剣翔君」
カバンを拾って来てもらい桜花は剣翔にお礼を言う
皐月はそんな剣翔と桜花を微笑ましく見ている
パチパチパチパチ
パチパチパチパチ
「!」
「!!」
「!?」
突然の拍手の喝采に3人は目を点にさせた
3人が聞こえてきた下を見ると大勢の女子生徒達が自分を見上げ拍手をしている
「………」
目立つことがあまり得意じゃない桜花は赤面して固まる
…何で…あたし達を見て拍手なんかしてるんだぁ…しかもあんなに沢山の人が…
桜花の心は恥ずかしさでパニックしている
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