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すると囲まれているのは、黒に近い茶髪の髪の色に、真っ黒な瞳の男の子篠崎剣翔しのざきけんと。
成績もトップクラス、スポーツも出来て、ルックスもよく顔もイケメンで、誰にでも優しく笑顔で微笑む。この学園の王子様的存在。
そんな彼を目当ての女子生徒は多く、休み時間には群がり常に軽く20人は超えている。
「すごいよね。いつ見ても篠崎君の周りは人集りだね。」
里奈は感心したように桜花に言った。
「ふーん…ご苦労だね…他のクラスからわざわざ来るなんて…余程暇人。」
どうでもいいような顔で桜花はぽつりと呟く。
ギロッ
ビクッ
悪口が聞こえたのか、篠崎の周りにいる数人の女子生徒が、振り返り桜花達を睨み付け、思わずビクッとした2人。
「…あはは…あんまり口に出して言わない方がいいかも…敵に回したら大変だから…」
冷や汗混じりに里奈は桜花に言った。
「…そうする…」
里奈に言われ、桜花は俯いて言葉少なく答える。
この葉山学園は、幼等部から大学部まであるエスカレーター式の学校だから、クラスメイトが1年ごとに代わる程度で、結構みんな仲が良い。しかも殆んどがお金持ちの家柄だが、あたしは母の見栄で通っている。
…あたしだって一応女の子だし…みんなが、かっこいいって篠崎君のことを騒ぐのは分かる気がする…
確かに篠崎君はかっこいい…あたしも実は密かに憧れている女子の一人だったりする。
でもあーゆう風に騒ぐのもちょっとなあって…思う…
イケメンと普通な顔のあたしじゃつり合えないって…悲しいけど分かってるから告るつもりなどはない。
ただ遠くから見てるだけで、クラスが一緒なだけでも幸せだ。
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