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『キーンコーンカーンコーン』
「授業のチャイムが鳴っちゃったから私は行くね。」
里奈は桜花に言った。
「うん。お昼にいつもの場所で待ってるよ。」
桜花は里奈に笑顔で言う。
「うん。」
里奈も桜花に笑顔で返事をすると、自分の教室へ戻って行った。
ガラッ
「授業を始めます。席に着いて下さい。」
数学の教師が教室に入って、そう言うと授業が始まる。
はあ…憂鬱だな…超苦手な科目だよ…
「この前のテストを返しますので、名前を呼ばれた順に取りに来て下さい。」
げっ…テストってこの前やったやつじゃん…
「秋山。」
「はい。」
「上原。」
「はい。」
「植田。」
「はい。」
…テストを返される前から点数何てたかが知れてる…
自慢じゃないけど、あたしは20点以上の上の点数はとったことがない!!
テストの返される順番を待ちながら、密かに桜花は心の中で叫ぶ。
「篠崎。」
「はい。」
ザワザワ
篠崎君はやっぱ満点何だろうな…
そう思いながら、桜花はテストを受け取り自分の席に戻る篠崎を見ている。
「!!」
「!!」
すると桜花は篠崎と目と目が合った。
篠崎は優しく微笑むが、桜花はキョトンとした顔をしながら見ている。
なぜなら、桜花だけではなく篠崎を見ていたのは、このクラスの女子生徒全員だったのだ。
だから篠崎の微笑むのを見て誰もが思った…[王子スマイル]は私のためだわ!…と
…凄まじい微笑みの効果…あたし以外の女子は目がハート状態だよ…
周囲をキョロキョロと見ながら、桜花は呆れ顔で見ている。
「田山。」
「はい。」
「中野。」
「はい。」
「藤沢。」
「はい。」
「渡部。」
「はい。」
そろそろ呼ばれるかな…
「石井。」
「はい。」
…えっ…!?
「石川。」
「はい。」
あたしの名前…呼ばれるどころか…抜かされてる…
「柿崎。」
「はい。」
「田辺。」
「はい。」
「手塚。」
「はい。」
「山木。」
「はい。」
…最後の人が呼ばれたけどあたしは呼ばれて無い…
そう思いながら、桜花は不安な顔をしている。
「テストは大半は返却しましたが、ここに一枚だけ名前の書いていなかった答案用紙があるります。まだ返されていない生徒は前に出て来て下さい。」
先生は生徒達に言った。
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