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ガタンッ
あたしだってテストを受けたはずなのに…
そう思いつつ、桜花は席を立ち、先生がいる教壇に向かう。
「!…浅宮さんのテストはまだ返却していませんでしたか?」
桜花に気付き先生は尋ねた。
「は…はい…」
自信なさげに、桜花は先生に答える。
「この答案用紙なのですが、筆跡は浅宮さんのですか?」
先生は、名前の書かれてなかった答案用紙を見せて桜花に尋ねる。
……あっ…あたしの字だ…名前を書くの忘れてたんだ…
「私のテストです、すみませんでした…」
桜花は自分の字に気付き、先生に謝罪した。
「今度は名前を書くのを忘れ無いように気を付けて下さい。」
先生は桜花に注意する。
「はい。」
先生に返事をして、桜花は軽くお辞儀をすると、自分の席に戻った。
…やっぱり15点だよ…これじゃあ放課後は居残りかな…
テストを見ながら桜花は落ち込む。
『キーンコーンカーンコーン』
授業が終わっても桜花はショックで俯いていた。
そんな桜花を見て、一人の男子生徒が近づいて来る。
「あの…浅宮さん。何処か具合でも悪いの?」
…あれ…この声ってもしかして…
桜花はそう思い、ゆっくりと顔を上げた。
「!!」
ビックリして、桜花は顔を上げるなり固まる。なんと声をかけてきたのはあの王子様と呼ばれている篠崎だった。
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