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騎士はひるんだカムイをはねのけると、逆にカムイに馬乗りになってきた。左手の剣を逆手に持ち直し、カムイの胸を貫こうと振りかぶって、またしても静止した。自分を襲った人間を見て息をのむ。その異常な風貌ではなく、予想もしなかった、相手の正体に。
「……こ、子供……?」
そして、カムイも少なからず驚いていた。はねおきた際に取れたらしい、兜の下の騎士の顔に。
「……あれ?」
騎士は、長い黒髪を団子状にまとめた女だった。細身の長剣をかかげ、困惑した表情を浮かべて微動だにしない。兜を取った女騎士はその顔の小ささもあってか、着ている甲冑とひどくミスマッチで、さっきまでは立派だった鎧姿もまるでオモチャのように見える。
カムイは、女騎士の剣が振り下ろされないのを確認すると、女騎士にある物を向けた。
自然とカムイの手に視線が集まる。そして、その場にいた全員が、そろって目を疑った。
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