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~♪
歌う詩人…あぁ彼の歌声は…
目を覚ましたら、時計は夜中の一時を回っていた
歌声が聞こえたのだが…きのせいだろうか…僕はベッドから降りて歌声が聞こえた部屋へと向かった
廊下は冷たく月明りがただ差し込んでいたこの宮殿に差し込む月の明かりはどことなく冷たい
~♪
また聞こえる…僕は歌が聞こえる部屋の扉を薄くあけた
~♪
先程から扉の前に気配を感じる…俺の歌声を聞いているみたいだ…どうしようか…聞いているのは誰かわかっているのだが…そのまま放っておいてもいい気がする
[殿下、そこではなく部屋に入ってきたらどうです?]
扉の前の人物が慌てふためくが入ってくる様子がない
[灯牙…入ってこいよ]
扉がキーと開く灯牙がトボトボと入ってきた
また王からお叱りを受けるな…俺は詩人…相手はこの王位継承権の跡取り身分制度にうるさい王様はまた怒り狂うだろうか
その姿が滑稽で俺は好きだけど
[…あの…えっと…]
小さな王子様は慌てふためいている
[やっと…名前呼んでくれたね]
王子様の笑顔、嬉しいはずなのに俺はため息をつく
[殿下…こんな夜遅くに私めの部屋へ何か御用ですか?]
もっっていた楽器を机においた俺は灯牙へ歩みよる灯牙は少し不服な顔をした
[君の歌声が聞こえたから]
[殿下…ここにいては私めは王様から罰を課せられてしまいます]
灯牙の顔がいっきに悲しみと怒りをあらわした
[父様は関係ないっ!!!]
部屋がびりびりと音を立てたそれから小さな王子様は、体を震わせ慌てる
[あ…ごめん…その……前まで…こんなんじゃなかったよな……僕が王位継承権が決った時身分制度にきつい父様が僕達を引き裂いてから…]
王子様は、泣きそうになっている仕方ない…俺は楽器をとる
[灯牙…一緒に歌おうぜ]
楽器を引き始める詩人、こくりとうなずき王子様と詩人は歌いだす
~♪
夜の月が奏でる音の幻想
裂かれた俺達を包むこむかのように、星と灯火の誓いの証は~♪
スバルの歌声…綺麗だ…まるで月のようで…楽器を引く彼の白い肌が月に照らし出される…指が規則正しく動かされ…その指の一つ一つの動きにさえ見入ってしまう
綺麗な顔した詩人と汚れた王子の夜の密会
彼の声と仕草に見入る歌を歌いながら王子は詩人に見入っていた
突然倒れる王子に詩人が駆け寄る
[殿下…疲れておられるのですね…]
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