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朝起きると枕が濡れていた
いつもの事だとまだ薄暗い光に照らされた少年は布団から身を起こした
部屋は寒かった
部屋というよりいらないものがおいてある物置の外から誰かが少年に何かを怒鳴った
怒鳴り声がすでに暗号に聞こえる少年はこの中のいらないものの一つに入るという事実に気がつくにはそう時間はかからなかった
部屋からでてただいわれた事をやればいい…少年は、傷だらけの心と体を引きずりこころなしか重いドアを開け外へとでた
数時間後
すべてをやりおえた少年が部屋へと戻ってきた
部屋へと崩れ落ちる無数の傷と血の匂いが部屋に立ち込めた
静かにけれど確実に少年の呼吸は乱れていった、近くにあった紙袋で口を覆う
だんだんとゆっくりと少年は呼吸を取り戻していった
この小さな部屋で何度血をながした事だろうなんで自分がともう嘆くのはとうの昔に止めていた
遠い昔大切な友人からもらった小さな腕輪を枕の下から取り出し見つめ着けてみるいつもらったものかわからない大切な友人の顔も覚えてはいないけどなぜかすこし安心した
ふと後ろから誰かの雰囲気を感じた、怒鳴ってくる雰囲気ではなくやさしい眼差しのような気配だった
ゆっくりと少年は後ろを振り向く
薄い青髪の少年がたっていた後ろで長い髪の毛をたばねている
「大丈夫か?」
手を差し出してきた
少年は差しだされた手にびくっと体を震わせた
「大丈夫、ここからつれだしてやる」
長い髪少年の手が大きく見えた小さな少年の手がそれにのっけられた
「いい子だ」
優しく頭を撫でられふらつく体を支え少年は長い髪の少年に連れられ始めて外にでた
外には青い空が広がり
少年の小さな目に空と鳥がうつされていた
長い髪の少年は少年の家が見えなくなった所で少年を木の影へと座らせ傷をいやした
長い髪の少年をしばらく見つめていた少年は笑った
たぶん、これが初めての少年にとっての笑いだった
長い髪の少年は少年の傷を直し向き直った
「俺の名前は、星翔 スバル」
少年はかすれた声を懸命にだした
「…名前…僕…せ、青空…と、灯牙…」
ゆっくりだけど名乗れた喜びとみたことのない世界にでれた灯牙と名乗った少年の小さな胸は躍った
「そうか、よろしくな灯牙」
スバルは灯牙の頭を撫でたそれからしばらく青い空には少年二人の笑い声がしていた
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