甘えの理由は…

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「ねぇ…晶…」 「なに…?」 俺(晶)は隣にいる小さな歩に視線を向ける 歩は小さな手を俺の首に回す 「なんだよ」 俺は歩の頭をなでる 「…好き」 顔をうずめた歩はそうつぶやいた 「知ってる」 俺はそっけなく返す 「…頼みがあるんだ」 歩が俺の顔をみた 「なに?」 「…晶と同じ所に傷を付けたい…」 そういって俺の腹をなでた 俺は昔、事故にあって横腹に切られた傷みたいな痕がついていた 父親に突き飛ばされ運悪くガラスに叩きつけられガラスの破片でついた傷だ 「お前に傷とか似合わないよ」 「なんでよっ!」 ちょっと怒った歩は俺の胸を叩いた 「なぁ…晶がつけて」 俺を誘うように胸を叩いた手を俺の顔に移す甘えたい時のこいつの癖 あぁ……まじで誘ってる… 俺は歩をベッドにぐいっと押し付けた 「なに…晶ぁ…」 誘うように言う歩 「お前が誘ったんだろ」 ちゅっと小さくキスを落とされた歩は俺の首に手を回しもっともっとと求めてくる 「晶ぁ…大好きぃ」 舌足らずに言う歩の腹をなでた こんなわがままを言うのは歩になにか不安がある証拠 「晶ぁ…晶ぁ」 ぐいっと俺を引きつけた歩が耳元で誘うようにいう こんな苦しそうに名前を呼ぶのは寂しい証拠 みんなは甘えん坊でかわいいやつなんていうけれどそれは違う ごちゃごちゃに心が乱れてどうしていいかわからない時にこうやって甘えたりわがままを言うんだ 俺は歩の横腹を軽くキスを落とす 「やっ…」 小さく高い声をあげた 「不安なんだろ…同じ所に傷をつけなきゃいつも俺と繋がっていられないんじゃないかって」 「うん…」 俺が歩の顔を見ると歩はどうしてわかったんだという顔をしていた 「大丈夫だよ…俺らはそんな浅はかな関係じゃない…傷なんかなくても繋がっていられる」 俺は歩をぎゅっとだく 「ごめん…わがままいって」 歩は俺の胸に顔うずめる 「やっぱ晶だけだよ、僕の事わかってくれるの」 歩はクスリと小さく笑う こいつの笑顔は天使かといつも思う 「ほら、今日はもう休めよ…ずっといてやるからさ」 「うんっ」 歩が安心するように頭を撫でてやる 歩は数秒後、小さな寝息を立て始めた 俺は歩の体をぎゅっと抱いた いつまでも繋がっていれるように祈りながら 終
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