平凡で…

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平凡で…ただひたすらに平凡… そんなただ平凡な昼下がり 台所からカタカタとかカコカコとかそんな些細な生活音が響き渡る 「ねぇー牙狼」 僕は隣にいる犬耳と犬の尻尾が生えた牙狼に話しかける 「何?歩ー」 読んでいた本から目を離して僕を見た さっきから一ページも進んでいない本。 台所に立っている牙狼の好きな人が立てている音に耳を牙狼が傾けていたのは明白で… 「本…読んでるの?」 っていじわるく聞いてみた 「うぇ!?…あ…う、うんっ」 顔を赤くしながら返事が帰ってきた 僕は牙狼が好き…でも牙狼は台所に立っている鴉が好きで…… 「…嘘つき」 またも僕はいじわるで彼を困らせる 「……ごめん」 牙狼は耳を横に垂らし謝った 「そんな言葉が欲しかったわけじゃない」 僕は牙狼の肩に手をかけ馬乗りになった 「やっ…な、なに…?あゆ…む?」 完全に混乱した彼の瞳…赤く染まる頬さえも愛しくて暴れる彼を無理やり抑えつけて乱暴にキスをする 「ふぁっ…やっ…んっ」 息苦しいのか僕の胸をトントンと拳で叩く いい加減かわいそうだからしょうがなく離してやった 「…ひ、ひどいよ…歩…まだ…鴉とキスもしてないのに…」 驚いた事に鴉とはまだキスはしていないと言う。このさいだ…言ってしまおう…僕は牙狼の頬を優しく撫で 「…愛してる…牙狼」 と言う 「えっ…歩?…」 動揺して彼の瞳が揺らいだ 「…ずっと好きだった…」 「ごめん…」 牙狼が僕の言葉をはじく 「…俺を好きなのは嬉しいけど…俺は鴉が好きなの…ごめん…」 牙狼は涙目でそう言う 「じゃぁ…一回だけ…一回だけ抱かせて」 僕は何を言ってるんだ…最低だ…焦って僕は言葉を出す 「ご、ごめんっ…今の忘れて!ごめん変な「いいよ…」」 牙狼は僕の言葉に被せた 「え…?」 僕は目を丸くする 「それで歩が俺をあきらめてくれるならいいよ」 牙狼が僕の手を握る 「うん」 僕は迷いなく返事をした最低なのは分かっているだけど…一回でいいから牙狼を感じたい 僕はベッドまで彼を運んだ 一度限りの恋だって分かってる… でもごめんな、牙狼…今夜だけは僕の物だから 甘い声を上げる牙狼 外はもうすっかり冬で雪が僕をあざ笑っている気がした 平凡…平凡な毎日だけど今日はとても特別な日 牙狼はこれから僕を愛してくれないかもだけど…僕は愛してる…平凡な日々の暇に苦しめられても君を愛してるよ
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