大人な恋

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「今夜は泊って行って平気だから。」 「はい。」 泊まれることが嬉しくて僕は、にこやかに笑った。 そういって史花さんは立ち上がる。 「ねえ、歩・・こないだ渡した本は読んだ?。」 「はい。」 「どうだった・・・?。」 「なんというか・・最初は面白かったんだけど・・難しかったです。」 「そう。そこの棚にある本好きに読んでいいから。あとドライヤーは、いつものとこね。」 「ありがとうございます。」 ドライヤーをかける僕。 そろそろ体にあったまってきて心地よくなってくる。 乾かし終わって適当な本を読んでいると史花さんがシャワーから出てきた。 「何か飲む?。」 「僕が入れます。史花さん何飲みますか?。」 「じゃあ、ワインをいただくわ。」 そういってドライヤーで髪を乾かす史花さん。 二つの並べてあったグラスにワインを入れる。 僕は史花さんの横へと座り、グラスを渡した。 グラスを受け取る史花さん。 僕はぐいっと喉にワインを流し込んだ。 ワインの香りが鼻に抜ける。 「こうやって人と家で過ごすのはひさしぶりだわ。」 史花さんは、嬉しげに声を高くして言った。 「いつも一人なんですか?」 僕は、史花さんの顔を覗く。 「寂しくはないのよ?でもたまにはこういうこともしてみたいの。」 「そうなんですか・・。」 そっけなく返す。 それしか言えなかったから。
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