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「このまま消えちゃいたい」
そうつぶやいて山の一番高い草原に倒れた僕…横を向くと困った君の顔が目に入る
「どうして?」
君は、僕と同じようにして横になりぎゅって僕の手を握ながら言った。
安心して泣きそうになる
「そしたら…笑顔の僕だけが君の記憶になるから」
暮れて行くオレンジ空をじっと見つめて隣の彼に言う
君は、困ったみたいで何もいってこなかった
「このまま…夕焼けのオレンジに溶けて…誰も僕を忘れて…消えちゃえばいいのにね…溶けて行きながら笑うんだ…きっと気持ち良くて暖かくて…今まで経験したことないくらい安心して……それでっ…」
涙が出てきた…君の前で泣きたくなかった。でも止められなかった…溜まってた涙が全部出て夕焼けからマリンブルーに変わりつつある空の色が涙に反射する。
お前の笑顔が好きって君が言ったからずっと笑って君を安心させたかった。
世界も悪いもんじゃないって君に教えたかったからずっと笑ってたのに…今泣いたことで全部が無駄になった。
情けなくて…地面に爪が食い込むくらいぎゅって爪を立てた。
そんな僕をふいにふわりと抱きしめた君。
「……」
君が何も言わない代わりにぎゅって抱きしめてきたから僕も困って…でもなんだか安心してもっと泣いた。
ねぇ、今の君は、本当は僕をどう思ってるの?呆れてる?怒ってる?そう思いながら、黙って頭を撫でて抱きしめてくる君にいっぱい甘えた。
あったかくてめまいがするくらい安心して…そのままバタリと君に体を預けた。
君の腕の中で見るマリンブルーは、綺麗だった。
いってしまったオレンジ…君は、僕の存在を溶かすのじゃなくて心を溶かしてくれた。
そして、深い眠りと安心に誘うようなマリンブルーで僕を包んだ。
強がったり無理したりしなくていいんだよ
そう君のマリンブルーが言った気がした。
fin
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