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風見 蘭華は瞼を通して光を浴び、眩しそうに起き上がった。
寝ては起きて、これで何度目だろうか?それはわからないが、蘭華は起き上がり周りを見渡した。
辺りは黄色に彩られていた。
どうやらその正体は大きな花のようで、その花は花びらを広げ、まるで太陽のように咲き乱れている。
此処は何処だ?
蘭華は頭で考えるが全くわからない。
「ん?……誰だ?」
そんな時、突如後ろから声を掛けられ、考え込んでいた蘭華は反射的に振り返った。
そこには一人の青年がいた。
買い物帰りなのか、両手一杯に袋を持っており、その量は蘭華が思わず重たくないのか?と心配してしまう程の物。
「んははは、大丈夫だ、重さを破壊してるからな。それより、お前は……見た所外来人?。
おぉすまない、俺の名前は“ユウ・ラハ・カイラーサ”。気軽にユウって呼んでくれて構わない」
そう言ってユウは手を差し出し握手を促す。
「ユウ……か、良い名前だ。私は風見 蘭華、蘭華とでも呼んでくれ」
蘭華はユウと握手を交わし、微笑する。
「……まぁ、見た限り害は無いみたいだし、どうだろう、俺の主に会ってみないか?」
「丁度いい。私も此処が何処か知りたかったからな、是非そうしてもらうと助かる」
ほぼ即答に近い返事を受けユウは蘭華を連れ、主と唱す人の元への案内を始める。
「――風見……偶然だよな」
ユウの呟きは後ろを歩く蘭華に聞こえることはなかった。
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