貴女に捧げる太陽の花

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  ◇  幽香達の別れた私は木という緑の装飾をされた道をただ歩いていた。  自然に出来たであろう行く手を示す道は余り整備されておらず、見えにくい。 「幽香……」  無意識の内に漏れた声だった。  だが、何故幽香は私を見て涙したのだろうか。私を知っていたのか、以前私は此処に来たことがあるのか。  記憶を失っている今、そんな事を考えた所で何もわからない。  あれから数十分が経とうとしている。  個人的にはまだ行けると思っていたが、唐突に脚が悲鳴をあげた。  ――脚がキシッと軋む。  流石にヤバイと感じ、とりあえず私は近くの木に背を預け、地べたに腰を降ろした。  思った以上に脚の状態はひどかったようだ。……と言っても別に血管が浮き出ている。内出血を起こしているなどではない。ただ、真っ赤に膨れあがっていた。 「うむ、私も朽ちたものだな」  自慰的な事を呟き、私は膨れ上がった膨脛に手を添える。  冷えた手が熱を帯びた膨脛に伝わり気持ちいい。  ……そこで私は目の前に誰かいる事に気付いた。 「本当にひどいですね。最近動いてます?蘭華」  誰だこいつは。  ただ、私の名前を知ってるのだから彼は知り合いなのだろうと勝手ながらそう解釈する。  彼はふふふ、と笑い私の膨脛に手を添える。  彼の手は不気味な程温かい。
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