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◇◇◇
「話し聞いてる?愁音君」
俺がここ――幻想郷に来てはや三日が経とうとしていた。
「あぁごめん聞いてなかった」
俺は日が暮れ茜色に染まっている空から視線を目の前に佇む凛奈に向けた。
全くもう……、と凛奈は額に手を当て横に振る。
「愁音さんぼ~とし過ぎですよ」
「仕方ないだろ?空が綺麗なんだから」
俺は凛奈の傍らで苦笑いを浮かべる刹姫を一瞥した。いつも思うんだが、何で刹姫は着物姿なんだ?
「ふッ……餓鬼だな」
「朸鴉さん、あまり仲間を悪く言わないでほしいですね」
木に背中を預ける朸鴉とスーツ姿の恐夜さんの絡みを尻目に凛奈が話し出す
「次は聞いてなさいよ
神側の駒が襲ってくる場所は永遠亭、西行寺幽々子、博霊神社、レミリア・スカーレット、人里の五つ
割り振りは朸鴉が永遠亭
私が西行寺幽々子
刹姫ちゃんが博霊神社
愁音がレミリア・スカーレット
恐夜が人里よ
期間は日没まで
逃げてもいいけどそうしたら被害が大きくなるわよ」
「おい、蘭華はどうした
あいつは神側の駒なんだろ」
「勿論。何処を襲うかはわからないけどね」
凛奈は一度肩を竦めると
じゃあこれで、と踵を返した。
「チィッ……」
朸鴉の舌打ちが茜色の空に響いた。
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