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月明かりに羽織ったマントを揺らし、佇むシルエット。
Water Wave 水波こと『水原 克也(みずはら かつや)』は、悪い噂が絶えない組織の支部を訪れていた。
組織の支部とされている建物は2階建てになっており、水原はその入口の前に立っていた。
「今日の仕事は 地味だなぁ」
文句を言いながら入口へと近づく水原だったが、防犯カメラがあることに気付き、2・3歩下がる。
そして少し考えた後、常人の域を超えた跳躍力で建物の屋根へと跳び上がり、防犯カメラの死角から様子を伺う。
建物の中には人の気配がするが、外には人影なし。そこで水原は建物の裏にある通風口を外し、中へと入っていく。
予め内部の見取り図を頭の中に叩き込んでいた水原は、迷わず目的なら資料が保管されている部屋へと向かう。
狭い通路を進み、やっとのことで目的の部屋にたどり着いた水原だったが・・・そこには、やはり当然の如く見張りがいて、そう簡単に書類は奪えそうにない。
しかし水原の指には「指輪型麻酔銃」なるものが装着されていて、それを通風口の狭い隙間から、見張りの首筋を狙って発射する。
この「指輪型麻酔銃」は3の針が入る構造になっている。その代わり、照準器は付いていない。まぁ、水原の腕を持ってすれば、照準器など必要ないのだが。
麻酔針は見事に見張りの首筋に命中し、見張りはその場に崩れ落ちる。幸い倒れた場所がカーペットの上だったので、さほど音は起たなかった。
水原は通風口をゆっくりと外し、カーペットの上に音もなく降り立ち、見張りの首筋に刺さった針を抜く。そして書類が保管されているダイヤル式の金庫を、難なく開ける。
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