とある夜の5つの影

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 すると金庫の中には、また金庫が。今度は入力式の金庫だったが、事前に得ていた4ケタの数学を打ち込むと、あっさりと開いてしまう。 「あいつ こんな情報どっから仕入れてく  るんだ?」  と小さく呟きながら、水原は中に入っている全ての書類を取り出し、金庫を閉め、そして金庫を閉める。そして外した通風口に、どこからか出してきた瞬間接着剤を、塗りピアノ線を結びつける。  水原はピアノ線を持ったまま天井に張りつき、足から通風口に入る。そして後ろ這いずりながら頭まで通風口に入る。そしてピアノ線を巻き取り、通風口を元通り?にする。  水原はそのまま後ろ向きに這いずり、出口を目指す。なんとも無様な格好たが、これしか方法がないのだから仕方ない。  出口に到着した水原は足から外に出て、手で通風口にぶら下がり、腕の力だけで屋根へと跳び移る。  屋根に登った水原は、静かにアスファルトに着地し、そして書類を大事そうに持ったまま、月明かりの街へと消えていくのであった。
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