とある夜の5つの影

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 月明かりを嫌うように、オフィスビル群の物陰に隠れながら、移動するシルエット。  Lightning Fist 雷拳こと『浜口 雷軒(はまぐち らいけん)』は、悪い噂が絶えない組織が関係する、暴力団の事務所があるオフィスビルの前にいた。  浜口は人目につかないように、事務所があるビルの裏道へと回り込む。  ちなみにビルは6階建てであり、目当ての事務所は4階にある。  浜口はまず、ビルとビルの間を次々と跳び越えて、ビルの屋上へと到達する。そして、屋上の突起物にロープを結び付け、4階までロープを伝って降りてゆく。  そうして4階の外側に到着した浜口は、窓の鍵を開ける訳ではなく、面倒臭そうに、窓ごと外してしまう。そして、窓をロープに引っ掛けて、事務所に入り込む。  誰もいない事務所で、堂々と金庫に向かって歩く浜口だが、警報装置が作動する気配はない。それもその筈、暴力団という疚しい事務所が、そんなもの付けられる理由がない。  そんなこんなで浜口は、あっさりと金庫を開け、必要な書類を取り出し、足で金庫を閉め、もと来た窓からロープに掴まり脱出する。  そして、手こずりながらも窓を元に戻し、ロープを伝って屋上へと上り、ロープを回収する。  そして、ビル群の屋上を跳び伝い、月明かりとネオンの街へと消えてゆくのであった。
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