とある夜の5つの影

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 月は雲に隠れ、闇が辺りを包む夜、ひっそりと佇むシルエット。  Blaze Blade 火剣こと『火村井 信弥(ひむらい しんや)』は、とある暴力団の組長邸の前にいた。  今回の火村井の仕事は、組長が逃げないように、足止めをしておくことだ。  火村井は早速組長邸に侵入しようとするが、庭には多くの防犯カメラが設置されており、さらには2匹のドーベルマンまで放し飼いにされている。  ドーベルマンを倒すことは容易いのだが、防犯カメラに映るのは得策ではないと判断した火村井は、隣の家の屋根へと跳び乗る。そして加速を付け、一気に組長邸の屋根へと跳躍する。  隣と言っても、距離にしておよそ200mはあるのだが、火村井はものともせずに、音もなく着地し、無駄のない動きで2階のバルコニーに移動する。  バルコニーのドアの鍵を、あっさりと外した火村井は、屋敷内部へと侵入する。余程庭の防犯システムに自信があったのか、洋風2階建ての屋敷には、殆んど防犯対策はされていなかった。  そんなこんなで、いとも簡単に侵入した火村井は、部屋の扉を開け、廊下に出る。するとタイミングよく、見回りのヤクザと鉢合わせしてしまう。  だが火村井は全く動じず、素早い動きで間合いを詰め、男の鳩尾へと拳を叩き込む。男が声もあげず、その場に崩れると、火村井は用意していたロープで男を縛り、先刻の部屋へと投げ込み、そして部屋から出ていく。  その後火村井は、適当に扉を開け、1階へ下りる途中に階段で、男を1人倒してロープで縛り、1階まで担ぎ下りた後トイレの中に放り込み、適当に開けた休憩室で、待機していた男2人も縛り上げ、部屋の中に転がし、1階の見張りをしていた男に背後から近づき、首筋に手刀を叩き込み、ロープで縛った後、適当に開けたそこら辺の部屋にぶち込む。  そうして見張りを全て排除した後、面倒臭そうに、組長の部屋がある2階へと上がってゆく。
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