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組長の部屋の前まで来た火村井は、その豪華そうな扉をノックする。すると中からドスの効いた声で
「どうした」
と返事がある。すると火村井は慌てたような声で
「侵入者がいます、早く避難をっ」
と見事な演技力で組長を誘い出す。
組長は偽部下の報告を聞き、急いで扉を開いて逃げようとする。が、そこに立っていたのは見たこともない男で・・・。組長の意識はそこで途切れる。
組長をあっさりと昏倒させた火村井は、血が止まらないようにロープで厳重に縛り上げ、そのまま部屋に転がし、もと来た部屋に戻る。
そして最初に倒した男を鬱陶しそうに跨ぎ、バルコニーの鍵にピアノ線を引っ掛け、外にでる。火村井はバルコニーのドアを慎重に閉め、器用にピアノ線を使って外側から鍵をかけ、屋根へと跳び上がる。
そして屋根から屋敷の正面に跳び下り、何事もなかったかのように、雲が晴れた月明かりの中に消えてゆくのであった。
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