学校と書き、戦場と読む

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そのあとの授業も、徹底的に俺が狙われたが、華麗にスルーし続けて昼休みになった。 「あ、弁当忘れた」 そんな、まさか…… 財布の中を覗く、平等院鳳凰堂が書かれているのが3枚と真ん中に1と書かれたのが2枚、お札無し。 つまり32円しかない。 今日は本当に運がない…… なんかやる気が無くなった。 急にトントンと肩を叩かれ振り返るとお弁当を持った美咲がいた。 「お弁当持ってきた」 それだけ言い残し去っていく。 ありがとうも言えなかったな。 俺は忘れた弁当を持って来てくれた美咲に心の中で感謝していた。 が、他の人たちはその光景を見て、忘れた弁当を受け取ったと解釈しなかったらしい。 「下山さんが中山に弁当だと……バキッ」 「毎日持ってきていた弁当はまさか……メキョ」 などと言っている。 ちなみに最後の音は箸が折れる音と缶ジュースが潰れる音である。 美咲の登場で俺の立場はさらに怪しくなった。 今日の午後は「芸術祭」の実行委員を決めることになっている。 芸術祭とは入学してすぐにあるイベントのことで、文化祭や体育祭とは違って学校内だけで行われる。 学校に早く馴染もうというのが目的であるこの行事は、クラス内で代表を決めて、体育館で発表するものである。 うちのクラスは何をやるのかなと考えていると、先生が入ってきた。 「えー、では芸術祭の実行委員長を決める……までもないな。中山やってくれるな?」 WHY?俺がやらなければならんのだ 「先生、俺やりたくないんですけど」 「五月蝿い。黙って頷け」 なんか扱い酷いんですけど… まさか、担任さえもファンクラブの一員なのか? 先生の目が血走っている。 普通に怖い。 俺は仕方なく頷いた。 「では、先生は一切手を出さないので皆で協力してやるように。そして、実行委員長になるべく迷惑をかけるようにしろよ」 ダウト。 ファンクラブの人確定。 教師としてありえない発言すぎるだろ。 先生が教室を出ていき、俺は教壇に立ってうちのクラス(1年3組)の芸術祭の企画案提案会議を始めることにした。
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