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無理もない。
つい半年前までは、ただの学生だったのだ。
それが、今や人を殺すだの殺さないだの、宋祐にとっては普通に生活していれば有り得なかった状況になったのだ。
戸惑わないわけがない。
「う~ん……でもさ、いくら人気があるからといっても、戦略の立て方や軍略なんて全然分からないし、逆にそれもマズいんじゃないの?」
「それについてはご心配なく。私と風が宋祐殿を補佐しますので」
「あ……そう。それならなんとかなるかもしれないけど」
宋祐は腕を組みながら『う~ん』と唸り、もう一度深く考えてみる。
「どうするの?」
季衣は宋祐の顔を覗き込むようにして見つめる。
実際、宋祐はやりたくないわけではなかった。
ただ、人の命を預かる以上、半端な気持ちやゲーム感覚でやるわけにはいかない、自分にはそんな気持ちが無いだろうか、と考えていたのだ。
これは戦略シミュレーションゲームや、アクションゲームとは違う。
命を懸けた、生きるための戦いなのだ。
だが実際、この世界で半年ほどを過ごしてきた宋祐には、既にそのような気持ちなどほとんど無かった。
「……分かった。やろう」
宋祐は、ギュッと拳を強く握った。
宋祐の返事を聞いた季衣は顔を明るくする。
「やってくれるの?」
「うん。自信は無いけど、やってみるよ」
「では、私たちはお兄さんの補佐ということでよろしいですか?」
何時の間にか風が起きていて、流琉に尋ねた。
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