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「そうですね。稟さんと風さんは、副将をお願いします」
と、風が話を聞いていたことに驚きながら、流琉が答える。
「了解です」
そう言うと、風はまた鼻提灯を出しながら寝てしまった。
器用だなぁ、と宋祐はしみじみと感じていた。
季衣や流琉が驚いているのを後目に、稟は大して気にも止めていない様子であった。
流石に風との付き合いが長いだけはあった。
「では、隊長と決まった兄様には、色々と決めていただきたいことがあります」
流琉が宋祐の方向へと顔を向ける。
「そうですね。部隊編成や兵の配置。本陣への伝令手段の確認や軍議へ提出するための案件など、山ほどあります」
「え。そ、そんなにあるの……?」
稟の言葉に、宋祐は不安そうな顔をする。
「まあ宋祐殿にはまだ勝手が分からないでしょうから、私と風が草案を考えますので、それの承認を頂くだけで結構です」
「あ、うん。わかった。ありがとう」
『では早速取りかかりましょう』と言い、稟は風を引きずるようにして連れて行った。
季衣と流琉も、忙しそうに本営から出て行ってしまった。
本営の中には、宋祐一人が残った。
「隊長……か。務まるのかな、俺に」
宋祐は本営の中を、不安そうにうろうろ歩き回る。
頭の中に浮かぶのは、前の世界にいた頃に映画で見たような戦争の光景。
だが現実は、それよりも遥かに生々しく、残酷なものだろう。
それに実際に参加するのかと思うと、やはり怖かった。
「……まあでも、一度決めたことだし、最後までやり通さなくちゃな」
「その通りね」
「うん……って、曹操!?」
「何よ、その驚き方は?」
何時の間にか華琳が本営の中にいたようで、宋祐は意外な人物の登場にひどく驚いた。
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