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「俺も行こうか」
宋祐は近くにいた兵士に曹操の軍がどこにあるのかを聞き、教えられた方へと向かった。
◇ ◇ ◇
「ここ……かな?」
曹操の陣営らしき場所に到着した。
孫策の陣営ほどの数はいないが、雰囲気は良いようだった。
全員が程よい緊張状態にあり、今すぐにでも出陣出来そうなほどであった。
宋祐は一つ咳払いをし、大きく息を吸い込んだ。
「たのもー!!!!」
宋祐の声に、近くにいた兵士達がわらわらと集まってきた。
その中には、見知った顔もあった。
「だれー……って、兄ちゃん!?」
宋祐を見た季衣は、目を見開きハッとする。
宋祐は笑顔で手を振る。
「や、季衣。久しぶり」
「うん! 久しぶり!」
季衣は宋祐の近くまでやってきて、そのまま宋祐に飛びついた。
飛びつかれた宋祐は、衝撃の強さに軽くよろめく。
「はは……相変わらず、季衣は元気だなぁ」
宋祐は季衣の頭をポンポンと優しく叩く。
季衣は『えへへ~』と言いながら笑顔を見せる。
「そう言えば、何で兄ちゃんはここにいるの?」
「俺? 俺は曹操の手助けをしようかなって思ってさ」
宋祐の言葉を聞いた季衣は、ぱあっと顔を明るくする。
「じゃあじゃあ、兄ちゃんと一緒に戦えるってこと?」
「え、まぁ平たく言えばそういうことになるかな」
「やったぁー!」
季衣は両手をあげて喜びを表現する。
宋祐はそんな季衣の様子を見て、笑みを浮かべる。
「じゃあ、華琳様のところに行かなきゃだね」
「そうだね。案内、頼めるかな?」
「うん!」
宋祐は季衣の後ろを、従者のようについていった。
数分歩くと、やがて大きな天幕で囲まれた本営のようなものが見えてきた。
「じゃあ、私が先に行って話してくるね」
「頼むよ」
季衣は『任せといてよ』と言いながら天幕の中へと入っていった。
やがて中から宋祐を呼ぶ声がし、宋祐は入り口の幕をくぐり中へと入っていった。
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