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「ママ、これ、どしたん?」
わたしの左腕の傷を、彼はそっと撫でる。
わたしの過去、彼は知らない。
「ママね、痛かったの」
わたしは彼の髪をそっと撫でた。
艶のある肌、目、髪、心。
全てがきらきらと光輝く彼は、わたしのどす黒い感情を浄化してくれる。
「ママ、いたいん?だいじょうぶ?マキロンとばんそこ、もってくるな、まっててな」
パタパタと足音を立てて、救急箱へと走って行く。
「もう、だいじょうぶよ」
彼はわたしの手に、沢山の絆創膏を貼る。新しい傷は、見当たらない。全てミミズのように膨れ上がったケロイドだ。
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