キーパーソン

52/52
前へ
/140ページ
次へ
  田辺さんは先程よりも更に深いため息を吐き、要望用紙のチェックを進める。   アキラ「ま~た無視する~。つれないなぁ。真鈴ちゃんは」   そんな田辺さんの態度にもめげずに、亮先輩はニコニコ楽しそうにしている。   マリン「無駄に口を動かす暇があるなら、手を動かして下さい」   亮先輩を見ようともせず、黙々と作業を続ける。   体育大会以来、田辺さんの亮先輩に対する接し方が少し変わった気がする。   生徒会に入会した当初は“真鈴ちゃん”と呼んだだけで、凄い剣幕で不快感を露にしたのに、今では呼ばれても反応を示さない。   諦めたのか慣れたのかは定かではないけど、二人を包む雰囲気は決して悪くない。   私がそんな事を思っている間、孝太郎先輩と折原先輩が何か話をしていた。   コウ「ケリはついたのか?」   カナデ「まぁぼちぼちな。焦らずにいく事にした」   コウ「そうか。やっぱり大河はお前の過去も現在も“キーパーソン”だな」   孝太郎先輩と目が合う。   カナデ「あぁ。これからも美弥は俺にとって“キーパーソン”だろうな……まぁ、今は美弥にはあのマシュマロ王子がいるけどな」   折原先輩はマシュマロを頬張る衛土先輩を見つめ、フッと口角を上げた。    
/140ページ

最初のコメントを投稿しよう!

43906人が本棚に入れています
本棚に追加